Contact〜再会した初恋の君に〜
繋いだ手を持ち上げ、紗希の指先にキスをした。
「な、何して…?」
「何ってキス」
チュ…とリップ音をさせて、もう一度指先に口づけた。
「え…あの…。こんな往来のあるところでしなくても…」
恥ずかしそうに慌てる紗希が可愛くてもっとからかいたくなった。
「でも、二人だけだったら手にするだけじゃすまないよ」
屈んで紗希の瞳と視線を合わせ「どうする?」と訊き見つめる。
「え、ぇ?」
「…続きは二人きりの時な。さぁ、行こうか」
そう言いながら手を握りなおす時に、俺たちを見ていた男に目を留める。
行ったか…。
これで紗希のことを諦めてくれるといいんだが…。そう願った。
その後は俺の願いでジュエリーショップへ行き、彼女のために指輪を選んだ。紗希の左薬指に合うサイズのものをいくつか見せてもらう。
「紗希。この中でどれが気に入った?」
いろいろなカラージュエルのリングが並んでいる。