Contact〜再会した初恋の君に〜
「これ…絶対に外すなよ。これを外すのは婚約指輪を贈った後だ」
「えっ? 婚約指輪?」
「そう…婚約指輪も紗希が気に入った物を贈りたいから一緒に選びに行こう。今度はサイズ直しの時間も必要になるだろうしな」
「もう気が早すぎるよ。だって、付き合いだしたのって昨日からだよね」
この想いのズレをまずは縮めていかないと、そんなことを考えた。
「早すぎないよ。俺はずっと前から紗希と結婚したいと思っていたから。今日だって本当は紗希を俺の家に連れて行こうって考えてた」
「…ぇ……」
黙り込む彼女にまた不安が過る。
「俺、真剣だから。このまま紗希の両親に挨拶しにいきたいくらいなんだけど、いきなり行くのも申し訳ないから、改めてアポ取って行ったほうがいいかなとかいろいろ考えてた」
「…今日は…まだ……」
「うん。近いうちにな…」
俺の「近いうち」という言葉に隣にいる紗希がホッとしたように感じる。
今日のところはまだ重かったか…。そう少し反省したところで、再び紗希の左手を持ち上げて指輪をなぞる。