Contact〜再会した初恋の君に〜

「いつかちゃんと婚約指輪を贈るから、それまではこれを絶対に外すなよ」

頷く彼女がどんな表情かはわからなかった。でも、嫌がっている様子がないことに安堵していると、気がつけば彼女の家の前まで来ていた。

「あ、送ってくれてありがとう。それと…これも…すごく嬉しかった」

指輪を俺に見せながら照れくさそうにお礼を言ってくれた。

「紗希…」

なんて可愛いいんだと思い名前を呼ぶと、腕を肩に回して抱きしめていた。

紗希はビクッとして驚いた様子ではあったが、しばらくすると俺の腕の中にすっぽり収まってくれた。

「なぁ…俺のこと名前で呼んでよ。俺のこと紗希の特別にして…」

「…ひ、宏和…くん」

「くん、なんていらないけど」と言って、身体を離して彼女の顔を見ると、暗がりでもはっきりわかるほど、頬を赤く染め、目を潤ませている。

「帰したくないな…」

もう一度俺の腕の中に収め、頭上からポツリとこぼす。

「そ、それはだめ」と俺の胸を押して距離を取ろうとする紗希が本当に可愛くて、触れるだけのキスをした。

「それも、近いうちに…な」

頷いてくれた彼女の瞳を見つめ、顔を近づけると唇に今度は熱い想いをこめてもう一度キスをした。

これ以上すると彼女を帰せなくなると思った時、唇を離し彼女を見送った。

家の中に入っていく彼女の後ろ姿に、もう離れたくない…という気持ちが溢れた。

それが俺の素直な気持ちだった。
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