Contact〜再会した初恋の君に〜

金曜日、17時30分に私がカウンセラーとして勤務している会社のエントランスに着いたとメッセージが届いた。

クライエントさんとの話が長引いてしまい、報告書の作成や片づけが終わらず、「ごめんなさい。もう少しで終わります」と返信する。

八神総合病院から出向という形であるため、今日の業務内容をきちんと記録し報告書を作成しておかなくてはならない。

報告書を書き終えてファイルをキャビネットにしまい鍵をかける。そして、数人残っていた社員さんたちに退勤の挨拶をする。

扉の辺りで「お先に失礼します」と言って部屋から出ようとすると、社員のカウンセリングスケジュールなどを管理している吉井さんに声をかけられた。

「あ、ちょっと待って。田中さんさ、この後若い人中心で飲みに行こうって話があるんだけど一緒に行かないか」

「あ…ごめんなさい。今日は予定があって…」

「そっか。急だったもんな。また今度誘うよ。次は早めに声かけるようにするね」

「はい。では、お先に失礼します」

今度こそ、と職場を後にしエレベーターに乗り1階に向かう。

エレベーターを降りるといつもの場所にいる宏和を見つけ近づいていく。
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