Contact〜再会した初恋の君に〜
「お待たせ。遅くなってごめんね」
「いや、大丈夫だよ。それより仕事はちゃんと終えたのか」
「今日の分はしっかり処理してきました」
「じゃあ、行こう。今日は車で来てるんだ」
すると、宏和が私の姿を見て首を傾げながら手を伸ばしてきた。
「紗希、その手に持ってるカバンは何?」
「えっ?」
投げかけられた疑問に何かを勘違いしていたのではないかと焦りだす。
「あ…、えーっと…。これは…あの…」
とてつもなく恥ずかしくなってしまい、次の言葉が出てこなくなる。
宏和は俯いてしまった私の様子を見てようやく気づいてくれた。
「紗希…。もしかして…なんだけど。それって今夜俺の家に泊まるから?」
恥ずかしくて声に出せなかったけど、コクンと頷いた。
もしかして、軽い女だと思われてひかれたのではないかと不安になる。
しばらく続いた沈黙が不安を大きくするが、少しずつそしてゆっくりと顔をあげて宏和の様子を窺う。
上目遣いでのぞき見た宏和は口元を手で隠し、横を向いていた。顔は見えなかったけれど私の位置から見えた耳は赤くなっていた。
はぁ…とひと息吐いた宏和がボソッと呟いた。