Contact〜再会した初恋の君に〜
「紗希…可愛すぎるよ。俺、この後夕食はどこにしようかとか真剣に考えていたんだけど、もう無理だ考えられなくなった。どこかで何か買って家に行こう」
「え? すぐに宏和の家に向かうの?」
「そう。もう俺落ち着いてご飯なんて食べられそうもないからね。ほら、行くよ」
そう言うと私の手からカバンを取り宏和が先に歩き出す。
夏の18時前といったらまだまだ明るい。
ボーっとその様子を眺めていると、振り返り戻ってきた宏和に手を握られる。
「車、近くのパーキングに停めてあるんだ」
「あ、うん…」
これが今の私にできる精いっぱいの返事だった。
宏和の熱い手に握られ、熱を上げた身体が外気の暑さでさらに上がっていった。
車の前に着いてリモコンでロックを解除すると助手席のドアを開けてくれた。
「乗って」と言われ、素直にシートに座る。
私の荷物を後部座席に置いた宏和が支払いのために一度車から離れて行く。
車内は少し前まで冷やされていたからか外気温より低く、皮のシートはひんやりして気持ちいい。
私はシートに背中をつけ、ドキドキする自分の心臓の音を聞き、どんどん高まる緊張感をどうしたら良いのか考えていた。
料金の支払いを終えた宏和が運転席のドアを開けて乗るとすばやく車を発進させた。