Contact〜再会した初恋の君に〜
「立派なマンションだね」
コンビニから戻る時に改めて見た宏和の住まいに一言感想を伝える。
「まぁ、それなりに広いかな。いちおう結婚後も住めるようにファミリータイプの部屋を探したからさ」
「そ、そうなんだ」
「紗希がよければ…いつでも越してきて」
握っていた手にギュッと力を入れられ、蕩けるような笑顔でさり気なく言われたことに赤面し動揺した。
「も、もう…気が早いってば…」
「越してきて」なんて…。つい先日、想いを通じ合わせたばかりだというのに…。戸惑う私が子供なのかな…。宏和がすごく大人に感じてしまうのは経験値の差なのかな…。
期待と不安の間で気持ちが揺れる。
私がネガティブ思考になってるのかも…と思えて、不安を振り切るように宏和の手をキュッと握り返して隣を歩いた。
エントランスに入るとコンシェルジュがいて挨拶してくれた。そのままエレベーターで宏和の部屋のあるフロアに行く。玄関ドアを開けて「どうぞ」と勧めてくれた。
「お邪魔します」と言って部屋の中に入るとリビングの窓からは夕暮れに染まる綺麗な空が見えた。
そういえば舞い上がっていてここが何階か気がつかないままで部屋まで入ってしまった。この景色から考えて、結構上の方の階だったことは確かだ。
彼は私の荷物をソファの横に置いて、キッチンへ向かう。