Contact〜再会した初恋の君に〜
「お弁当温めようか」
「あ、やるよ」
「紗希はお客様なんだから座ってて」
「でも…手伝わせて」
「じゃあ、お茶頼んでいいかな?」
「まかせて」
車に乗るまでの慌てていた宏和とはうってかわって、落ち着いた様子に残念な気持ちになっていた。
食後に宏和がコーヒーを入れてくれたので、二人でソファに座り飲みながら、今日の職場のことを聞かれたので、私の仕事のことなどを話していた。
「それで紗希の仕事のことはわかったけど、その…やっぱり男が多いんだよな?」
「そんなことないよ。あそこの職場は女性も多いのよ。医務室が隣にあって、産業医の先生も男性と女性が一人ずついるし」
「でもさ…、うーん。初めてあそこに迎えに行った時に紗希のこと追いかけてきたような奴がいたしな」
「うん? 誰だろう…何か伝え忘れたことでもあったのかな?」
宏和が「はあぁ」と大きくため息をついてから、私の両肩に手を置いて、真剣な眼差しで見つめてきた。
「紗希のこと追いかけてきたんだと思う。俺のことジッと見てたし。紗希こと気になってるんだろうな」
「そんなことないと思うよ。だって…」
「声をかけられたことなんてない」って言おうとしていたら、肩に置かれていた手が背中に回され抱きしめられる。
耳のすぐ横から聞こえた少し怒ったような低い声で続けられる。