Contact〜再会した初恋の君に〜
「紗希は無自覚すぎる」
そう言った途端、宏和の唇が私の首筋を吸い上げた。
体がビクンとして「あ…」と声が漏れる。
逃げ腰になった私の体を片手で固定し、もう片方の手が私の耳元をくすぐる。
「紗希が男からのアプローチに気がつかない原因は俺だと佳純が言っていたが、それにしても本当に鈍すぎる」
「に、鈍いって…ひど…」
私の反論は宏和の唇によって遮られた。
耳元にあった手が後頭部に回され逃げられなくなる。戸惑う私に宏和は角度を変えて何度も唇を合わせてくる。
「…ん……ふぁ……」
呼吸がうまくできなくて苦しいのと、キスに酔わされて変な気分になってきたところで、宏和が唇を離して私の瞳を見つめてくる。
「紗希…。気がつかないんだったら、そのまま他の男の視線なんかかわしておけよ」
真剣な瞳にドキッとすると、二人の時にしか見せない甘い表情をする宏和になり、ふわりと抱き寄せられ、私の心臓はドキドキしっぱなし。
しばらく抱きしめられたままでいると、部屋があまりにも静かで、心臓の音だけが感じられた。温もりをじんわりと感じていると、宏和がその沈黙を破ってきた。