Contact〜再会した初恋の君に〜
「じゃあ…紗希の初めては俺が全部もらう」
「全部?」
「キスもその先も…全部俺のだ」
鼻先が触れ合うくらいの位置で宏和が真剣な顔をして言ってくる。
言われたことの意味が理解できず、パニック状態の私はまた余計なことを口走ってしまう。
「あ、でも…キスは…。前に付き合っていた人とが初めてだったから…全部…ではないと思うよ……」
私の言葉を聞いた宏和がニコッと嬉しそうな顔を見せ、親指で私の唇をなぞる。
「安心して。紗希が思ってる初めてのキスは前に付き合っていた人じゃないと思うよ。その人の前にキスしたことがないと思っているなら、たぶん紗希の初めてのキスは俺が奪っておいたから」
宏和の告白の意味が理解できなくて、キョトンとしてしまう。
「えっ? どういうこと?」
不審感を隠さずに訊き返すと、口元を押さえながら宏和の告白が続いた。
「今だから言えるけど、実は高3の時に教室で居眠りしてた紗希にキスした」
「ええっ!?」
「ごめん。寝顔があまりにも可愛くて我慢できなかったんだ。ずっと好きだったって言ったろ」