Contact〜再会した初恋の君に〜
俺はこの幸せを続けるために、早く結婚まで進めたくなっていた。
でも、紗希は? 紗希は俺との未来を同じように考えてくれてるのだろうか。
どうも二人の関係については俺の方が断然重い。熱量の違いは昔から変わっていないと思われる。
彼女の髪に指を差し入れ額にキスをして、彼女にこの想いが伝わるよう祈った。
旅行の後、俺たちの気持ちは確実に近づいていると感じる日々を過ごせていた。
月日が過ぎるのは早いもので9月になってしまった。
俺としては来週の祐貴と佳純の結婚式に参列して、紗希の気持ちが結婚に向いてくれることを願っていた。
「佳純ちゃん、おめでとう。すごく綺麗よ」
「あぁ、祐貴も惚れ直すな」
「二人ともありがとう。祐貴には会ったの?」
「祐貴には先に会ってきたよ。あいつ、珍しく緊張しているんだと」
「そうなんだ。緊張してるとか祐貴らしくないこと言ってるのね」
「佳純ちゃんは緊張してないの?」
「今はまだ平気。やっと支度が終わってホッとしているところ。きっとチャペルの扉の前に立ったら緊張する気がしてる」
「佳純さ…。ブーケを紗希に向かって投げてくれよ」
「紗希。なんか宏くんから無茶なお願いされたけど、後ろ向きで狙って投げるなんてできないから、ちゃんとブーケ取ってね」
「ちゃんとって…難しいこと言うわね…。私たちの年齢で結婚してる子の方が少ないんだから、ほとんどの子が欲しがっているでしょう」
「じゃあ、俺が取って紗希に渡してやるよ」
「もう、宏くん。それじゃあ、意味がないでしょう」
「祐貴が『次は宏和たちの番か? ブーケトスでブーケ取ったらもう決まりだろ』とか言うからさ。そういうジンクスにあやかりたいだろ」
呆れ顔の佳純が余計なことを言う。