Contact〜再会した初恋の君に〜
控室から出ると紗希の腰に手を回し、他の男たちに自分の存在をアピールしておこうと考えていた。それなのに…。
「ね、ねぇ…。これ、歩きにくくない?」
なんて、腰にある俺の手を見ながら紗希が言うものだから寂しくなる。
「紗希はもう俺の彼女だろ」
「そ、そうだけど…。会場には大勢人がいるでしょう。だから、恥ずかしいって」
「そう。いろいろな人がいるから、これでいいんだよ」
まったく相変わらずの温度差だよなと思ったが、ここは譲らず腰に手をあてたまま会場の中へと進んでいった。
会場にはすでに高校の同級生たちがいた。久しぶりの再会に喜んでいると、俺たちのことを訊かれた。
「瀧本。相変わらずだな」
「何が?」
「田中さんしか眼中にないって感じがさ、昔と変わってないよな。それで、やっと田中さんと付き合えるようになったのか?」
誂うような言い方にムッともきたが、紗希の一言で気が抜ける。