Contact〜再会した初恋の君に〜
「…やっとって、本当にあの頃から?」
隣にいる紗希が小さな声で呟き、俺の真下から大きな目を見開き見上げてくる。
俺は何度目になるかわからない台詞を愛おしさを込めて伝えた。
「だから…紗希だけが気がついていなかっただけなんだよ」
高校生の頃からずっと好きだったって、周りはほとんど気がついていたのに、本人がまったくだったからな…。
「そう…。もう俺の女だから。手を出すなよ」
紗希の腰に回していた手を肩に移し、懐かしい同級生たちに俺たちの関係を宣言する。
「昔から田中さんに声かけるだけでも、睨んでたじゃんかよ」
今更何を言っているんだと思うが、古くからの友人たちに、俺たちのことを知ってもらえて良かった。
チャペルの祭壇に祐貴がスタンバイし、しばらくするとパイプオルガンの演奏が始まり扉が開いた。佳純が父親と一緒にヴァージンロードを歩いていく。
うっとりとした目で佳純を見ている紗希に見惚れていた俺は、自分たちも早く結婚式ができるようにしたいと考えていた。
二人が永遠の愛を誓いあうのを聞き、隣に座る紗希の手をギュッと握り、一人心の中で誓いをたてていた。
紗希の気持ちが早く俺に追いついて欲しいと…。そんなことを願っていた。