Contact〜再会した初恋の君に〜
秋らしい巻積雲が広がる空が見られるようになり、服装も上着を着るようになった頃、宏和のことを追いかけてきた女性が一人着任されたと聞こえてきた。
宏和と大学が同じだったという金田さんは、ここ八神総合病院でも同じ呼吸器内科にいる。
最近、院内で二人が一緒にいるところをよく見かけるらしい。
そんな様子を見ていた人たちから聞こえてきた噂は二人が付き合っている、ということ。
私と宏和のことも知っているようで、聞きたくないことまで私の耳に届くようになった。
『やっぱり医師同士の方がいいのかしら』とか、『前の子だと物足りなかったんじゃない』なんて、私に憐れみのような目を向けてきた。
彼女は女性の私から見ても美人だと思う。しかも、華やかさまで備わっていて宏和と並んで歩いているところはちょっと世界が違うように感じる。
彼女の行動は誰が見てもわかるくらい明らかな好意を持って宏和に近づいているのがわかる。
そして、私を敵視していることもわかった。