Contact〜再会した初恋の君に〜
彼女は誰に聞いたのか、わざわざカウンセリングルームに来て、私を呼び出し中庭に連れ出すなんてことをするような人だった。
「あなたが宏和くんの高校の同級生って子なの? ふうん…」
品定めでもするかのような不躾な視線を向けてくる。
「そうですけど」
怯んでいる場合ではないと平静を装い返事をしてみたけれど、彼女からの蔑むような視線に不審感が募っていく。
「どんな人かと思っていたんだけど、見た目だけかしら…」
「あの、見た目だけってどういう意味ですか?」
「あなたじゃ宏和くんの相手になるには役不足だって気づいていないのかしら」
「役不足?」
「そう、宏和くんの妻になるのは私のように医者じゃないと。彼の家族だって認めないでしょ」
この人は宏和の家族とも知り合いなのだろうか?
家族ぐるみで付き合いのある人だったのかと考えると、この偉そうな態度もなんとなくわかる。
わかるけれども…こんなに人を見下すような態度を平気でとる人を宏和が選ぶのかと疑問にも思う。
「…それは彼の家族からあなたが結婚相手だと言われている…そういうことですか?」
「そうよ。あなた、彼の家がどれほどの規模の病院か知らないの?」
「知ってます」
「じゃあ、わかるでしょう。彼に相応しいのは私。私の家も同じくらいの規模の病院なの。それで彼の実家の病院と提携していくことがすでに決まっているのよ」