Contact〜再会した初恋の君に〜
「それはあなたと宏和が結婚するから…ですか?」
「そうよ。まぁ、政略結婚のような感じだけど、私たちはずっと前からの知り合いだし、自然な流れよね」
「…ずっと前?」
「そうよ。あなたよりずっと前からの付き合いよ。後から出てきたくせに本当に結婚するのは自分だと思っていたの?」
「…それは宏和の気持ちもあなたにある、ということでしょうか?」
「えぇ、そうよ。宏和が私を選ばない理由がわからないわ」
「…え?…」
「私たちは大学時代もうまくやっていたのよ。それを彼が東京に戻るって言って、一時的に離れてしまっただけなの。その間にあなたと再会したからって私との関係が切れた訳じゃないわ。それに、私がこっちに来たんだから元の鞘に収まるのが普通じゃなくて」
元カノ…ってこと?
彼女がいたなんて話は宏和から聞いたことが
なかった。
金田さんから浴びせられる言葉を受け、対面した時にはあったはずの、自分が宏和の彼女だという自信がなくなっていく。
呆然としていると、目の前の彼女が一言吐き捨てた。
「だから、さっさと身を引いてね」
「………」
私の返事を聞く必要がないと言うことなのか、彼女は言い終えたところでサッと体の向きを変えて歩いていった。