Contact〜再会した初恋の君に〜
言いたいことだけを言って去っていく彼女の後ろ姿には、私には足りない何かがあるように思えた。
それは宏和の隣に立つのは自分だという自信。
親が決めたとはいえ彼女が本当の婚約者だからこその自信なんだろうか…。
それとも宏和のご両親も認めているからなのか…。
あそこまで自信を持って、妻に相応しいのは自分だと言い切ることが私にはできない。
「はぁ…」
ため息を吐きながら離れて行く彼女の姿を見て、精神的な疲労を感じていた。
嫌な考えばかり頭の中に湧いてきて、疑いたくなんてないのに宏和のことまで疑いたくなる。
そもそも宏和はずっと私のことを忘れられなかったと言っていた。それなのに別の女性と付き合っていたということなの?
今日、宏和は私の退勤時間に合わせて帰れるように調整してくれていたから、彼女とはどんな付き合いだったのか、どういう関係なのかその時に訊いてみようと思った。
「勝手に想像して疑うなんてだめね…。確認しなくちゃ」そう呟き、職場に戻った。