Contact〜再会した初恋の君に〜

駅に着いたところでその視線の先に見慣れた姿を見つけてしまった。

「…え……宏和…。なんで? 金田さんと一緒にいるの…」

思わず出た声は離れたところにいる二人には届くはずはなく、二人が私の存在に気づくこともない。

私は改札の手前で、腕を組んで歩いていた二人の後ろ姿を見送った。 

私が宏和と金田さんが消えていった方を眺めたまましばらく立ち尽くしていると後ろから声をかけられた。

「紗希ちゃん…。大丈夫?」

振り返ると食堂でよく会う宏和の先輩がすごく心配そうな顔をして立っていた。

「松本さん……」

「いや…。紗希ちゃんがずっと動かずにいたからさ。さっき、見ちゃったのかなって、心配になって声をかけたんだけど…」

見ちゃった…? 
宏和と金田さんが一緒にいたところを? ってことは見間違いではないってことよね。

「紗希ちゃん…これ」

松本さんが私にハンカチを差し出してくれた。気がついていなかったが、私の頬には涙が伝っていた。

さっき見た光景が現実のものだったとわかったショックからなのか、流れる涙がしばらく止められなかった。

松本さんが「きっと何か用があって一緒にいただけだろう。瀧本は紗希ちゃん以外の子なんて眼中にないよ」と言ってくれた。

でも、私は昼間に金田さんから言われたことが心の中で引っ掛かっていて、松本さんが言うようには思えずにいた。
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