Contact〜再会した初恋の君に〜
電車に乗って家の最寄り駅まで3駅。その間も考えることは、先ほど見た二人が一緒にいたという事実。しかも、金田さんは宏和の腕に自分の腕を絡めていて、二人は見つめあっていた。
そう…まるで本物の恋人同士のように見えた。
なぜ? なんで、あの二人がこの時間に駅にいたの?
だって、今日は私との約束があったんじゃないの?
どうして宏和は自分の腕に組まれた彼女の腕をそのままにしていたの?
金田さんが本当の恋人だから?
不安と疑問が次から次へと湧いてくる。
「はぁ…」とため息をまたひとつ吐く。
宏和が私に言ってくれたあの言葉は嘘だったの?
今、私が付き合っている人に実は他にも付き合っている人がいて、その人と婚約しているということ?
考えれば考えるほど悪い方へと思考が向いていく。
知らなかったとはいえ、また同じことを繰り返しているかもしれないと思うと虚しくなった。
あの時、真紀子さんが私にくれたアドバイスは何だったのかすら思い出せないくらい動転している自分がいた。
落ち着ついてきちんと考えようと思うのに、夕方の光景が思い出され心は落ち着かなくなる。
家に着くとすぐに部屋に入りベッドに転がった私は、昼間の金田さんとのことや夕方に見た二人のことで心も体も疲れきってしまっていた。
日付が変わる少し前にバッグの中にあるスマホが震えていることに気がついても、起き上がることさえできなかった。