Contact〜再会した初恋の君に〜
「昨日、お前たちが腕を組んで仲良く歩いている姿を見た人がいてそれで彼女に聞いたら、昨日はお前とデートだったって答えたそうだぞ」
「はあぁ!? 昨日はお世話になった教授に会いに行っただけです。あいつとは大学が一緒だったからで、会場には他にも数人いましたし、付き合っているなんてことはないです」
「でも、紗希ちゃんとの約束があったのに そっちに行ったんだろ?」
「えっ!? なんで、そんなことまで知っているんですか?」
「紗希ちゃんから聞いたよ。昨日、紗希ちゃんがお前たちが腕を組んで歩いていたところを見ていたからな。俺も」
「……。紗希が見ていた? 先輩も?」
「あのな、駅まで二人で仲良さそうに腕組んで歩いていたら、噂にもなるって考えなかったのかよ」
「いや、仲良くなんてないですよ。それに俺は離れろって何度も言ったんですけど…」
あの時のことを思い出し困った様子で答えていた俺に話の途中で先輩が口を挟んできた。
「言っても離れなかったのかもしれないけどさ、無理にでも離さなきゃいけなかったんじゃないのか。紗希ちゃん…呆然としていたぞ」
「えっ!? それで、紗希はなんて…何か言ってましたか?」
「心配するくらいなら自分で聞けよ。お前がそんな曖昧な態度でいたら他の男がさらっていくだろうな」
先輩は不機嫌そうに言いたいことだけを言って仕事に戻っていった。