Contact〜再会した初恋の君に〜
瀧本くんから逃げるように小走りでカウンセリングルームに向かい、慌てて部屋に飛び込んだため、音を立てて扉を閉めてしまう。
幸い昼の休憩時間なので、部屋には真紀子さんがいるだけだった。
「はぁ……はぁ……」
扉に寄りかかり切らした息を整えようと肩を大きく揺らし、ふーっと大きく息を吐いた。
「あぁ…失敗したな…。これからもきっと会うわよね…。だとしたら、この時間に予約があるというのは、ちょっと無理があったかな……」
一気にいろいろなことが頭の中を駆け巡り、気がついたら声に出ていたらしい。
「紗希ちゃん。何を失敗しちゃったの?」
慌てる様子の私にクスッと笑った真紀子さんが声をかけてきた。
「あの、ここに高校の時の同級生がいて…声をかけられて…驚いてしまって…。彼は私が医学部に進学したことを知ってたから、だから…『何科にいるんだ?』って聞かれて返事に困って、つい…」
「つい? どうしたの?」
「お昼休みなのに次の予約があるから、って逃げてきちゃったんです」
「まあ…」
目をパチパチさせて驚く様子を見せる真紀子さんに気にしていたことを話してみた。