Contact〜再会した初恋の君に〜
明日は心理学の勉強のため講演会に行こうと申し込みを済ませた。前から聴いてみたいと思っていた先生の話だから、きっと今後の仕事で役立つはず。
私生活で悩むときには興味があることを調べたり勉強をすることが、私の気分転換の方法の一つだ。
金曜日に吉井さんたちと飲みに行くことにもなっているし、また違う方法での気分転換ができるかな…と期待していた。
人と関わることで今までとは違う視点で考えられることを期待した。
だから、来週の火曜日までは宏和と金田さんとのことは考えないようにして、自分がどうしていきたいのかを考えることにした。
金曜日、いつものように書類整理を終えると、吉井さんが声をかけてくれた。
「田中さん、仕事終わった? 終わったなら一緒に行こう」
「あ、はい。終わりました」
「じゃあ、行こう。他のメンバーとはお店で待ち合わせなんだ」
「はい。お願いします」
二人で職場を出て、会社から15分ほど歩いたところにあるお店の前に着いたところで声をかけられた。
「吉井くん。その子が新しくきたカウンセラーさん?」
吉井さんは「よう」と返事をした。
「あ、初めまして。田中と申します」
軽く腰を折って挨拶をした女性は少し年上かなと思えるキャリアウーマンといった感じの人。
「どうも。こちらこそ、初めまして。野村です。吉井くんとは同期なの」
優しく声をかけてくれた野村さんは私と同じくらいの身長でショートカットの女性だった。
「噂通りの可愛い子だね」なんて言われて返事に困った。