Contact〜再会した初恋の君に〜
side 宏和
紗希が俺との連絡を拒否するようになって1週間になろうとしていた。
今日、俺は夜勤明けで紗希が同じ建物で仕事をしているというのに、会うタイミングがつかめず医局の奥にある仮眠室で横になっていた。
「あいつ…俺からの着信を無視してるしな…。直接会うしかないのに…この時間じゃあ、まだ仕事中だろうな…」
この1週間、俺はまともに眠れていない。
原因はわかっているが、それを解決するには紗希にきちんと説明をしないことには始まらない。
とりあえずは昼の休憩時間に紗希に会うため、仮眠室で体を休めようとしたが邪魔する奴がやってきた。
「宏和くん。ここにいたんだ」
「麻帆。頼むから俺に構うなよ」
「なんで? 私たち付き合ってるんだし。いいでしょ」
そんな嘘を堂々と言えるこいつの神経がわからない。
甘えた声を出し俺にすり寄ってくるから、肩を掴んで押し返した。
「だから、俺はお前とは付き合ってないだろ。何度言ったら理解できるんだよ。親父たちにまで変なこと言うな」
そう…週末に久しぶりに母から連絡が来て、一緒に食事をしようと呼ばれて行った先に麻帆とこいつの父親がいた。
なんの冗談かと思ったが、俺の家族に取り入って俺と結婚する気でいたことがわかった。
本当に余計なことばかりをするやつだ。
おかげで紗希にきちんと説明しなければならないことが増えてしまった。
このまま紗希が俺の元から離れてしまったら…と思うと居ても立っても居られない気持ちになる。
麻帆を仮眠室から追い出し、昼休みまで横になり体を休ませることにした。