Contact〜再会した初恋の君に〜

「お待たせ…」と言った後の言葉に困っていそうな紗希に車に乗るようにと助手席のドアを開けた。

「俺の家に行っていい? 嫌ならどこか外で話せるところに行くけど」

「宏和の家でいいよ」

「わかった。じゃあ、簡単に食べられるものだけ調達させて」

「うん」

お昼に別れた後、疲れがかなり溜まっていたらしく目覚ましのアラームがなるまで熟睡してしまった、と溢すと「ごめんなさい」と返された。

「紗希が謝ることはないよ。むしろ俺の方がごめん。後できちんと説明させて」

そう言うとマンションの近くにあるカフェに寄り、コーヒーとサンドイッチを購入した。

「もっとしっかりしたものの方が良かったかな? でも、俺…今は正直、食欲があまりないんだよね」

苦笑を浮かべて買ったものが入った袋を「持ってて」と言って紗希に渡す。

「私も…。あまり食欲なくて、軽いものがちょうどいいと思っていたの」

「そっか…」

そう返事をした後になんて言っていいものかわからず、ただハンドルを握りマンションまで車を走らせる。駐車場に車を停め、降りると部屋まで黙ったまま歩いていく。
< 163 / 185 >

この作品をシェア

pagetop