Contact〜再会した初恋の君に〜
「紗希…ごめん。俺の言葉が足らなかったばかりに紗希を不安にさせて…。麻帆との噂が流れていたことは知っていた。後でわかったんだが、その噂は麻帆自身が流していた。それと紗希に会いにも行ってたとも聞いた。嫌な思いをしたよな。本当にごめん」
謝罪の言葉とともに頭を下げる。
「……」
紗希は何も言わず、まだ何か許せないことがあるような疑惑の目を向けてくる。
「紗希の声すら聞けなかったこの1週間は仕事にも身が入らずボーっとしては注意されて、俺…本当にいろいろとボロボロだったんだ」
ここできちんと彼女のわだかまりを解かなくてはいけないと思うのに、自分の気持ちばかりが溢れてくる。
「紗希に電話をしても繋がらなくて…初めは寝てるのかな、くらいに軽く考えていた。それからどうしたら電話に出てもらえるのか。どうすればこのすれ違いを回避できるのかって考えてたら、もう会ってくれないんじゃないかとどんどん不安になっていった」
紗希は目線を下げたまま、何も言わずにコーヒーの入ったカップを見つめている。
「嘘をついたつもりはまったくなかった。だから、一刻も早くきちんと説明するべきだったのに、変な噂が先に広まってしまったせいで…いろいろあって。ごめん…」
俺が頭を下げたところでようやく紗希が口を開いた。