Contact〜再会した初恋の君に〜

「私ね。昼休みに会ってたあの人と大学で知りあって告白されて、付き合うようになったの。初めは知らなかったんだけど後から彼には親が決めた婚約者がいることがわかった。それからいろいろあって…人間不信にもなって。だから…もし、宏和にもそういう人がいるなら、私はこの先宏和とは一緒にはいられない」

その瞳いっぱいに涙を溜めた紗希を見て、そんな苦い思いを二度もさせてしまったことに苦しくなった。

紗希の頬に一筋溢れた涙を指で拭いながら、俺の言葉を信じてほしくてもう一度繰り返した。

「俺に婚約者なんて人はいない。信じてほしい。あの噂も彼女が勝手に言っていただけだ。俺の家族にもいろいろ言って俺と結婚しようと画策していたのは事実だが、先日正式に俺の家族にも麻帆にもあいつの親にも麻帆と結婚することはないと伝えてきた」

それから俺は麻帆とは子供の頃からの知り合いだったことを伝えた。
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