Contact〜再会した初恋の君に〜

紗希


宏和から「会いたい。迎えに来る」と言われ終業後に会う約束をした時、もしかしたら別れを告げられるのではないかと考えて不安でいっぱいだった。

それは、宏和と付き合っていると噂されていた金田さんから、彼女が宏和の婚約者だと聞かされていたから。

でも、宏和と金田さんは婚約者でもなければ、付き合ってもいなかった。

はっきりと宏和の口から聞くことができて安心した夜、仲直りを通り越しプロポーズまでされてしまった。

動揺して一瞬頭が真っ白になり、なかなか素直に応えられなかった私にしっかりと気持ちを伝えてくれた。

その想いに心が震え「はい」と返事をすることしかできなかった私を笑顔で受け入れてくれた。

改めてお互いの想いを確認し合った夜は抱えていた不安をなくすために話しを続けた。

「それでさ…俺も気になることがあるから、ちょっと聞いてもいいかな?」

「なに?」

「実はさ、松本先輩から『今、脳外にきてる男が紗希のこと聞き回ってる』って聞いて、どんな奴なんだろうって気になってた」

「そんな話があったの?」

「うん。だからどんな奴なのか気にかけてはいたんだ…。それで…あの昼に一緒にいたあの男が脳外にきてる奴だって思った。やっぱり紗希が前に付き合っていた人だったんだな…」

「…うん…」
< 170 / 185 >

この作品をシェア

pagetop