Contact〜再会した初恋の君に〜

「今日さ、エレベーターから紗希が男と二人で歩いている姿が見えて醜い感情が湧いてきたよ」

「えっ…」

「紗希があいつと一緒に並んで座っていることも嫌だった。なんで俺以外の男と親しげに話しているんだって、見ているだけでも苦しかった」

「あれは…先輩に呼び出されて。実は先日、偶然街で会って昔のことや現況とか、なんか一方的に話しただけで私の話を聞くことなくあの日は別れたから、もう一度ちゃんと話をしたいって言われて、断れなくて」

「その…さ。紗希が話したくないなら無理には聞き出そうとは思わないけど、あの人と何かあったから紗希は大学を辞めたんじゃないかと思ったりしたんだ。違う? よかったら教えてくれないかな?」

「…う、うん……」

「やっぱり言いにくい? 俺さ、紗希についてはどんどん我慢がきかなくなってて…。誰にだって知られたくないことがあるだろうって思ったから聞かないでいたんだけど、知りたくなったんだ。それで、紗希をまるごと全部愛したい。だから紗希のこと話してくれる?」

離れていた間のことを知りたいと。それがどんなことでも、過去にどんなことがあったとしても、この先ずっと紗希のことを愛し続ける自信がある、なんて言われたら黙っていることはできなくなった。

「何があったのか話してくれる?」

「…長くなるわよ…」

「話してくれ。紗希のこと知りたいんだ」

「…うん。どこから話そうか…」
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