Contact〜再会した初恋の君に〜
隣に座っている宏和が距離を詰め、私の肩に手を回して抱き寄せてくる。
頭の上に軽いキスを落としてきて、唇を離すと「教えて…」と手を握られた。
温かい手に包まれ、安心した私は口を開いた。
「大学1年の夏休みにボランティアをしようと考えて、いろいろ調べていた時に声をかけてくれた先輩がいたの。その人が今日会った坂口先輩…。一緒に活動するうちに付き合ってほしいと言われて…付き合うようになったの」
握られている彼の手に力が込められた気がした。
「…それで?…紗希はあの人と付き合ったのか?」
声に出さず、ただ頷く私に少し寂しそうな瞳を向けて「ごめん。続けて…」と先を促される。
「でも、先輩は学内でも有名な人で…。その…あのルックスだから目立っていたし、一緒にいるところを見た人がいろいろと噂を流したみたいなの。それで後で知ったんだけど先輩には親が決めた婚約者という子がいて、その噂を聞いたらしくて…。その子が取り巻きの子を使って嫌がらせをしてきたの」
「嫌がらせだって? どんなことをされたんだ?」
「主に軽い嫌がらせだったわ。食堂で水をかけられたりとか。足を引っ掛けられたりしたことだった」
「軽いとか、そういうことじゃないだろう。学校には言わなかったのか?」