Contact〜再会した初恋の君に〜
彼女とは年齢が近いこともあり、友だちのようにフランクに話しかける。それに変に意識してもらいたくないという気持ちもある。
「助かります。見つからなかったら、今日また新しいのを買ってしまうところでした」
ふとした時にあの時受けた恐怖を思い出してしまうことがあるらしい。そうなると緊張からたくさん汗をかいてしまうことがあるため、タオルがバッグに入っていないことに気がつくと軽くパニックになるのだそう。
「一つ無駄使いしなくてすんだかな?」
「…ですね」
うふふ…と笑いあってから「さよなら」と言って別れた。
彼女はこの病院のメンタルヘルス科に通っているクライエントさんで、症状が落ち着き快方してきているので、最近はカウンセラーである私が担当している。
「葛城さん…自然に笑えるようになってきて、よかったな…」
自分が担当しているクライエントの笑顔が見られるようになって、ふと溢れた言葉だった。