Contact〜再会した初恋の君に〜
そんな時にふと視線を感じ、その方向に顔を向けると真剣な顔をする瀧本くんと目が合った。
気のせい? 私のこと見ていた? なんで?
「えっ?」と溢れそうな言葉を飲み込んで、咄嗟にまた窓の外に視線を戻す。
すると、瀧本くんが場を収拾しようと発言した。
「じゃあ…俺から指名していい?」
先生が指名するならわかるけど、なぜ彼が指名するのだろうと思い、首を傾げながら視線を彼に移す。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべて発言する彼に周囲から反対の声はあがらない。
「では、田中さん」
「え??………?」
驚きすぎて言葉がなかなか続かない。
「田中紗希さんにお願いしたいんですが、いいですか?」
「いや…。あの…私…手を挙げていませんけど…」
たまたま目が合ったからって急に人を指名するなんて…。そうは思ってもそれ以上言い返す言葉がこれ以上見つけられず、声が小さくなっていく。
クラス委員なんて先生から頼まれる雑用係みたいな面倒なことは可能な限り避けたい。だいいち私は本当に手なんて挙げてはいない。
頭が真っ白になってしまった私は口まで固まってしまった。