Contact〜再会した初恋の君に〜
しばらく沈黙が漂う……。
真っ直ぐな視線を私に向け、引かない姿勢を見せる瀧本くんは再度確認をしてくる。
「田中紗希さん、クラス委員、お願いしてもいいですか?」
瀧本くんの再度の問いかけで周りがザワザワし出して、自分に向けられる視線が痛い…。
もともと強く言い返したりできない性格の私は諦めて返事をした。
「…は…はい…」
キョロキョロと周りの様子を窺う。他の女の子から反対意見でも出てくれないかと期待したが、特に意見も出てこなかった。
次いでニカッと口角を上げて微笑んだ瀧本くんから一言。
「じゃあ、決まり。よろしくな」
女子たちの視線が痛いが、クラスの男子たちがパチパチと手をたたきはじめ、気がつくと全員から賛同されてしまった。
今までの学生生活でこんな面倒なことを引き受けたことはなく…ガックリと肩を落とした瞬間だった。
そして、これが私の人生とは関わりのない人だと思っていた瀧本くんとの初めての接点だった。