Contact〜再会した初恋の君に〜
「そういう瀧本くんだって、家が大きな病院なんでしょう?」
うちとは違って…ということを知っていて、わざと大きな病院と言ったのだが、気にもしていない様子で返事があった。
「ああ」
「やっぱり病院の跡を継ぐんだよね?」
「俺は次男だからな。たぶん家の病院は兄が継ぐと思う」
「ふーん。そうなんだ。お兄さんがいるのね」
「あぁ…だから田中の家の病院の跡継ぎにもなれるぞ」
「……はぁ? 言ってる意味がわからないんだけど?」
「お前一人っ子なんだろう。俺が医者になって跡継いでやってもいいかなって」
「なんでわざわざうちの病院を継ぐなんて言うのよ。やっぱり言ってる意味わかんない」
なんだか変な瀧本くん…と、この時は深く考えることはなかった。
「まぁいっか…大した意味はないよ」
「ふーん。でも、医者になることはもう決めてるってことね。偉いね、しっかり将来のこと考えてるんだね」
「まあな。でも、お前もだろ?」
「…ま、まあ、そうかな」
瀧本くんとプライベートなことを話すのは初めてのことだった。そうしているうちにセット完了となった。
あとはそれぞれのクラスに置いてくれば終わりだ。そこは二人で手分けしてすぐに終わらせることができた。
職員室で先生に作業が終わり帰ると伝えると、昇降口に歩いていった。
「うーん。まさかこんな暑い日に放課後残って、先生の手伝いをするなんて考えてもみなかったな~」
瀧本くんを横目に見て不貞腐れた感じで文句を言うと、並んで歩いていた瀧本くんが言い返してきた。