Contact〜再会した初恋の君に〜
「卒業する前に告れ」ともよく言われた。
近くで見ていた親友はよほど焦れったかったのだろう。
「…本気で好きだから…簡単に言えないんだろうが…」
「これが学校一のモテ男のセリフとは思えないよな」
「そういう、お前は佳純とうまくいってるのかよ?」
「まあな」
「そうかよ」
祐貴の自信ありそうな顔にムッとしてしまう。
「そんなに不貞腐れんなよ。きっと紗希ちゃんもお前のこと嫌いじゃないって」
「嫌われてるとは思ってない。でも、俺が特別だとも思えなくてな…」
「うーん…。難しいところだな」
「そんなふうに言われたら、ますます言えなくなるだろう…。はぁ…」
親友の目から見ても、田中が俺に好感を持っているように感じるが、それが特別な感情には見えないんだろう。
だから『嫌いじゃない』なんて言葉になるんだろうな…。
思えば俺の方が彼女のことを想っている時間が長い。
大学生になってもいつまでも田中のことを忘れられない自分に嫌気が差したが、あの頃は勉強に励むことでしばらくは彼女の存在を心の奥にしまった。
でもここで再会して、やっぱり彼女のことが好きだと改めて思った。
今度こそ、彼女の気持ちごと俺のものにしようと誓った。