Contact〜再会した初恋の君に〜
それにしても…なぜ瀧本くんはここ八神総合病院に勤務しているのか。確か彼の実家は都内にある同じくらいの規模の総合病院だったはず…。てっきり進学先の大学病院か実家の病院に勤務していると思っていた。
ここにいるはずがない人だと思っていたから、声をかけられてすごく動揺したんだと思う。
瀧本くんに会った時はたまたま白衣を着ていて、彼は私が医者を目指していたことを知ってるから、あの姿の私を見て気がつき声をかけたのだろう。
実際に私服であの時間にあそこを歩いていたら、さすがの瀧本くんでも気がつきもせず、声もかけなかったはずだ。
つまり、院内では白衣を脱いでいれば良いだけのこと、そうすればこの前のように気づかれることも声をかけられることもなく平常心で仕事ができるはず。
本当はすごく懐かしくて、覚えていてくれて嬉しかった。
もう会いたくないという気持ちとやっぱり会いたいという複雑な想いが交錯している。
再会からしばらくの間、忘れようとすればするほど瀧本くんのことを考えてしまう自分に呆れた。