Contact〜再会した初恋の君に〜
連休中も忙しかっただろうドクターとは違い、ゆっくり過ごせた私は仕事の感覚を取り戻すのに一生懸命で、気がつけば5月も後半になっていた。
また、ひと月近く瀧本くんには会うこともなく過ごせていた。
やはりこれほど会わずにいられるなら、そうそう再会することはないのだろうと思うと、変に期待し構えていた自分が虚しく感じた。
5月最終の火曜日は定時で仕事を終えて、病院を出るためロビーを抜け、職員通用口へと歩く。
瀧本くんに声をかけられた院内のカフェ前を通っている時、久しぶりに瀧本くんを思い出した。
もう忘れようとしてるのに、ここを通っただけで思い出すなんてダメじゃない…。
頭を左右にブンブン振り、もう瀧本くんのことは思い出してはダメだと、忘れるんだと心の中で繰り返す。
まず今は仕事を頑張らないといけないし、そのためには彼氏なんて存在はいらない。
特に瀧本くんのように女の子たちが放っておかないような男性と噂になったりしたら、仕事がやりにくくなるに決まってる。
もう、今後いっさい関わらないようにしないと、と改めて自分の中で彼の存在を忘れようと決意する。