Contact〜再会した初恋の君に〜
そんなことを考えながら病院を出ると、女の子たちに囲まれている瀧本くんを見かけてしまった。
相変わらず人気者だな…。
素直な感想だった。
なんか昔もよく見たな…あの光景…。
高校生の時もあんな感じで瀧本くんの周りにはいつも女の子たちがいた。
みんな綺麗で、かわいい子たちね…。
何を話しているのかまでは聞き取れなかったけど、周りの女の子たちが瀧本くんと松本先生の手を引いて移動しようとしているように見えた。どうやらこのあと一緒に食事にでも行くのだろう。
「私には関係ないわね…」
そう呟くと気づかれないようにスッと横を足早に通り抜けた。
やはり勤務先が同じだと今回のように見かけてしまうことがあるだけに、あれほど忘れようと思っていても簡単には忘れられそうもない自分にうんざりした。
姿を見かけただけで頭の中に瀧本くんが蘇ってくるなんて…。
昔、一緒にクラス委員をしていた時、瀧本くんにとって私が特別なんじゃないかと思っていた頃があった。
そう思ってしまうくらい彼は優しかった。
でも、彼は女性に優しいんだ…私が特別なんてことはなかったんだ。
放課後に二人でいた幸せな時間は過去のこと…。
その日は少しさみしい気持ちで帰路についた。