Contact〜再会した初恋の君に〜

「いや…。邪魔したい気持ちはありますけど、それ以前にあいつに会えてなかったんですよ」

「紗希ちゃんのこと、気安くあいつとか言うなよな。それにしてもあれからひと月だろ、ずいぶん会ってなかったんだな」

心なしか先輩の口元がニヤリとしたように見えた。

「…そう…ですね…」

先輩の何気ない言葉に落ち込んだが、すぐに頭を切り替える。

松本先輩がこの1ヶ月の間に田中と何度も会っていたというのに、俺が一度も会えなかった理由を考えた。

「先輩、来週の木曜日のシフト代わってください」

「紗希ちゃんに会うためにか?」

「そうです」

「嫌だね。俺にとっても彼女に会える貴重な時間なんでね」

「……。わかりました。他をあたります」

まったくもって田中に目をつけるとは…。

露骨な先輩の態度に呆れながら、高校生の時のように彼女に他の男を近づけないようにするにはどうすればいいのか?

その方法が分からずに頭を抱える日々を過ごした。
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