Contact〜再会した初恋の君に〜
二人が言うように田中はモテる。
最近知ったことだが田中は松本先輩だけでなく、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といった彼女が主に担当しているリハビリテーション科の男たちが彼女に目をつけていると聞いた。
これから彼女の担当する科が増えれば、いや増えなくても彼女の存在が広まれば、きっと彼女に声をかける男が出てくる。
そんなのは嫌だ。
「はぁ……」と深いため息を吐き、頭を抱えた。
俺の焦る気持ちに気がついた祐貴が佳純に声をかける。
「なあ佳純。宏和がずっと田中さんのこと忘れられなかったのは知ってるだろう。田中さんに携帯番号を教えてもいいかくらい確認してあげたら?」
「でも、確認したらたぶん教えないでって言われると思うよ。それに勝手に教えたりなんてできないよ。彼女の信頼を失いたくないもん」
「うーん…。でも、なんとかならないかな…。こんなに思い悩む宏和見てたら、何かできることないかなって…」
幼馴染みの二人が俺のことで一緒に悩んでくれることが救いだったが、手立てが見つけられない俺の気持ちがどんどん沈んでいく。
しばらく三人で無言のまま考えていたが、何かひらめいたのか佳純が急に大きな声をあげた。