Contact〜再会した初恋の君に〜
「そうだよ。宏くん。紗希ちゃんは自分が美人さんだって自覚がないんだから」
「もう…佳純ちゃん、私は美人なんかじゃないって…」
「もう何言ってるの。紗希ちゃんは顔は小さいのに目はぱっちり大きくて、ほんのりピンクの形のいい唇がバランスよく配置されてて、密かに狙っていた男の子がたくさんいたんだよ」
「それ…いつのことよ。もう…佳純ちゃんたら変なこと言うんだから」
「ほら…。だから男の人が声をかけてきた目的が紗希ちゃんだなんて思わず、それは仕事の話なんだって思ってるはずだよ。ねぇ?」
佳純ちゃんが私に同意を求めるように訊いてきたので首を縦に振る。
「うん。瀧本くんも…。まったく、私がモテるとかどこで聞いてきたんだか…」
続けて呆れたように言葉を返す。
「ねぇ、やっぱり紗希ちゃんは勘違いしてるのよ」と佳純ちゃんが言い、宮下くんが「本当に自覚がないんだな」と二人は顔を見合わせ笑っている。
でも、隣に座る瀧本くんだけは不機嫌な顔をしていた。
今日の瀧本くんはずっと機嫌が悪い…。
そこで、もしかして……と、私なりにある可能性を考えた。
「まぁ、前途多難…だな」と宮下くんが楽しそうに笑って、気まずくなりそうだった空気を笑い飛ばしてくれたので、その後は楽しく食事を進められた。
お店を出ようというところで瀧本くんに声をかける。