Contact〜再会した初恋の君に〜

放心状態の私とは対象的な瀧本くんに「スマホを出して」と言われ渡してしまい、「ロック解除して」なんて言われるままに行動してしまうくらい舞い上がってしまった。

連絡先を交換して瀧本くんから戻されたスマホをカバンに入れた記憶すらない。

ドクンドクンという鼓動がおさまらなくて、握られた手が熱くて、会話ができないままただ瀧本くんの隣を歩いていた。

私は瀧本くんの『付き合って…』という言葉にすぐに反応できなかった。

彼は高校生の時に好きだった人。そんな人から告白されて嬉しくないはずはない。でも、私なんかが瀧本くんの相手でいいのだろうか…。

今の私は難しく考えてしまう癖ができてしまい、素直に喜べずにいる。

私はどうやって家の前まできたのかわからない状態だったけど、瀧本くんがしっかり私を自宅まで送り届けてくれた。

「俺、本当に田中が好きなんだ。本気だから、結婚を前提に付き合ってほしい。よく考えて…でももう長くは待てないかも…」

そう口にしながら私の頬に手を伸ばしてきた彼の真剣な眼差しに視線を外らせずにいると

「できれば、良い返事だと嬉しい…」

そっと私の額に口づけてから離れていった。

玄関の扉を開けたところで振り返ると、手を振り帰っていく瀧本くんの後ろ姿を眺めた。
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