Contact〜再会した初恋の君に〜
「た、瀧本くんは元気そうだね。ここに勤務してるの?」
「あ、あぁ…今ここの呼吸器内科で後期研修医として勤務してる」
「……そっか…」
「お前は?何科にいるんだよ?」
「えっ……。…何科って……」
「お前も後期研修だろ?」
高校は一緒だったが大学は別の所に進学した私たち。それでもお互いに医学部へ進学したのだから、彼の質問は当たり前のことのはずだった。
何気なくかけられた言葉に俯いてしまう。
「そうだよね…瀧本くんは…ちゃんとお医者様になったんだね。偉いな…」
「偉いって…。お前もそうなんじゃないのか?」
挫折した今の自分が恥ずかしいわけではないと改めて思い、俯いていた顔を上げてニコッと笑顔を貼り付けて彼に伝える。
「…私は医者じゃないよ」
心の中は穏やかではないが、表情には出さないように必死に応答した。
「えっ?…お前…医学部いったよな?」
「あ、うん。入学はね、した。でも、卒業はしてない」