Contact〜再会した初恋の君に〜
「あ、あの…本当に…いろいろわからなくて…。どうしたらいいのか…」
「好きならお付き合いすればいいのよ」
真紀子さんは姉のような優しい表情で、私の答えを知っているかのように話してくれる。
「前に私が言った通り、彼は高校生の頃からずっと紗希ちゃんのこと好きだった…って言うじゃない」
「真紀子さん。なんでそんなことまでご存知なんですか?」
「ヒロ先生が嬉しそうに教えてくれたのよ。そんなことをはっきりと言えるヒロ先生、素敵じゃない」
「その話…どこまで広まってるんでしょうか…」
「さあ? でも、ヒロ先生自身が広めてるから、この2日ほどでだいぶ広まったでしょうね」
話を聞いて私は青ざめた。
「…私…もうこの部屋から出られません」
「うーん…それは無理ね。ちゃんとお仕事しましょう」
当然なんだけど…。突然のことで思考が変な方へ働く。
「今日だけでもこの部屋から出ずに仕事する。なんてことは…できな…い…かな?…なんて…」
「はい。シフト通り頑張りましょうね」
真紀子さんはニッコリ笑って仕事の指示を出す。容赦のない真紀子さんを恨めしく思ったりもしたが、当たり前のことなので諦めた。
「はい…」と答え、頭をガックリと下げた。
こんな気持ちのまま仕事がきちんとできるかと不安にもなるが、いい加減な対応はできないので、お茶を1杯飲んで気持ちをリフレッシュさせた。