終の棲家
雪山に棲む鳥達は今宵も寒さに震えていた。
朝昼は何とか凌げるが、夜ともなると吐く息も凍る。
とまり木で身を寄せ合い、ただ耐えるしかない。
一羽の鳥が云った。
──なぁ。明日、日が昇ったら巣を作らないか?
──そうだな。巣を作れば寒さを凌げる。
──よし、朝になったら早速とりかかろう!
そうして互いに慰め合い、朝を迎えた。
──今日は妙に暖かいな。
──そうだな。春が来るんだ。
──春が来て、暖かくなるのなら巣は要らないな。
再び夜になり、やはり寒さが身に染みる。
こんな夜を幾度も幾度も繰り返し、一羽、また一羽と凍え死んで逝った。
今際の際、彼らは思った。
──噫。鳥になんて生まれなければ良かった。
願いが叶ったのか、雪山の鳥達は人間に生まれ変わり、今日もぬくぬくした部屋で寛いでいる。
そして云った。
──噫。懐が寒い。
──明日こそ働き口を探そう。
──鳥は自由でいいなぁ。
(了)
朝昼は何とか凌げるが、夜ともなると吐く息も凍る。
とまり木で身を寄せ合い、ただ耐えるしかない。
一羽の鳥が云った。
──なぁ。明日、日が昇ったら巣を作らないか?
──そうだな。巣を作れば寒さを凌げる。
──よし、朝になったら早速とりかかろう!
そうして互いに慰め合い、朝を迎えた。
──今日は妙に暖かいな。
──そうだな。春が来るんだ。
──春が来て、暖かくなるのなら巣は要らないな。
再び夜になり、やはり寒さが身に染みる。
こんな夜を幾度も幾度も繰り返し、一羽、また一羽と凍え死んで逝った。
今際の際、彼らは思った。
──噫。鳥になんて生まれなければ良かった。
願いが叶ったのか、雪山の鳥達は人間に生まれ変わり、今日もぬくぬくした部屋で寛いでいる。
そして云った。
──噫。懐が寒い。
──明日こそ働き口を探そう。
──鳥は自由でいいなぁ。
(了)