《マンガシナリオ》最強SPは、愛しい幼なじみを守りたくて仕方がない
第1話 消えた初恋の人
○(回想)煌莉の小学生時代
向かい合う、幼い私服姿の煌莉と蒼
煌莉『…蒼。好きっ…』
煌莉(これが、わたしの生まれて初めての告白だった)
蒼は、煌莉に対し背中を向ける。
蒼『煌莉の気持ちには応えられない』
その言葉に、涙する煌莉。
煌莉(その日を最後に、蒼はわたしの前から姿を消した)
(回想終了)
○学校、テラス(昼休み)
テラス席に座り、向かい合わせで学食を食べる煌莉とまりあ。
主人公でヒロインの宝条煌莉。
ゆるくウェーブのかかった、ふんわりとしたロングヘア。
人気ジュエリーブランド『BERRY JEWELRY』社長のひとり娘。
上下とも、ボルドーワインの色の制服。
白いシャツの上に、ウエストまでの短い丈のブレザー。
そのウエスト部分から膝下にかけて伸びるプリーツのロングスカート。
足首までの短めの靴下。
焦げ茶のローファー。
愛川まりあ
同じクラスの煌莉の友達。
ツインテールの巻き髪が特徴的な女の子。
5人アイドルグループ『PARTY』のメンバー。
まりあ「聞いたよー!また、煌莉パパがチェンジ申請出して、SP交代するんだって?」
煌莉「うん、そうなんだ〜…」
苦笑いを浮かべる煌莉。
まりあ「今度の原因はなんだったの?」
煌莉「パパいわく、SPの中島くんがわたしに下心があるとかなんとかで…」
まりあ「あ〜、でもそれわかるかもー。なんか中島くん、警護中もやたらと煌莉のこと見てなかった?」
煌莉「そう…かな?」
まりあ「そうだよー!」
昼食のカルボナーラをスプーンとフォークとでクルクルと巻き、口に運ぶまりあ。
煌莉「でも、さすがにチェンジしすぎだと思わない…?」
まりあ「まぁ、それはたしかにね」
ため息をつく煌莉。
〈煌莉たちが通う、聖リリアナ高等学校〉
〈ここは、多くのお嬢様たちが通う超セレブ学校〉
〈在校生には、日本を担う大企業の社長令嬢、一流アスリートや有名芸能人の娘などがいる〉
〈彼女たちは、『イブ科』というコースに在席している〉
〈イブ科とは、将来、外見も内面も美しい才色兼備な女性になるべく、基本的な教科の授業はもちろん、あらゆる分野の礼儀作法やマナーといった教育もカリキュラムに含まれている〉
〈イブ科の卒業生の中には、歴代総理大臣の妻や、ミス日本代表に選ばれた者も少なくはない〉
〈そして、女子生徒のみ在席しているイブ科とは反対に、男子生徒のみ在席している『アダム科』というコースがある〉
〈アダム科は、ボディーガードを志す心技体に優れた男子生徒が多数在席していて、将来有能なセキュリティポリスになるべく、教育を受けている〉
〈現在、世界各国の首相や大統領を守る専属SPの多くは、アダム科の卒業生たちだ〉
〈そして、聖リリアナ高等学校の特徴として、イブ科の女子生徒1人に対し、同学年のアダム科の男子生徒を1人、SPとしてつける制度がある〉
〈『SP』と言っても、『セキュリティポリス』の意味ではない〉
〈聖リリアナ高等学校でいう『SP』とは、『シークレットパートナー』と言われている〉
〈シークレットパートナーとは、周りにボディーガードだと悟られず、陰ながらお嬢様を守る役割のことだ〉
〈そのため、学校生活はもちろんのこと、プライベートでも常に行動をともにする〉
まりあは、いったんスプーンとフォークを置き、水の入ったグラスに手を伸ばす。
まりあ「そういえば、煌莉知ってる?アダム科で、変な呼び名がつけられてるって噂」
煌莉「…変な呼び名って?」
不安そうな表情を見せる煌莉。
まりあ「すぐにSPを交代させることから、『刹那のお嬢様』って呼ばれてるらしいよ」
煌莉「わ…わたしが!?」
驚いて、目を丸くする煌莉。
まりあ「うん。でも、その『刹那のお嬢様』にどれだけ長くSPとしてつけるかっていうのも、アダム科ではちょっとした競り合いになってるみたいっ」
茶化すように、微笑むまりあ。
煌莉は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、手で顔を隠す。
煌莉(まさか、陰でそんな呼び名がつけられていただなんて…恥ずかしすぎる)
肩を落とす煌莉。
気にしてもしょうがないとなだめる、まりあ。
〈この『SP制度』は、高校2年生から取り入れられ、大抵は初めてパートナーとなった相手と卒業までペアになることがほとんどだ〉
〈しかし、煌莉は違った〉
〈今は高校2年の9月だが、すでに6人ものSPをチェンジ申請を利用して、新しいSPに替えている〉
〈煌莉との距離が異様に近い〉
〈煌莉へのボディタッチが多い〉
〈煌莉を口説こうとしている〉
〈そういった理由で、ものすごく心配性の煌莉の父親が、毎回チェンジさせている〉
〈そして、また今回も〉
煌莉「いつも仲よくなる前にチェンジだから、あんまりSPのことについてよく知らないんだよね」
まりあ「結局のところ、煌莉パパは煌莉のそばに男がいるのがイヤなんじゃない?」
煌莉「でも、今パパを警護してくれてるボディーガードの人はここの卒業生みたいで、パパもすごく信頼してるから、この制度については理解があると思うんだけど…」
あきれたように、ため息をつく煌莉。
○送迎の車の中(放課後)
煌莉の前の助手席には、40代の強面のボディーガードが座っている。
SPがチェンジとなり、新しいSPがつくまでの間、煌莉を警護するように雇われたボディーガード。
〈小学6年生のときに一度、誘拐されそうになったことがあった煌莉〉
〈それ以来、父親は煌莉にボディーガードをつけるようになった〉
煌莉(今度のSPとは、仲よくなれたらいいな…)
憂鬱そうな目で、車の窓から外を眺める煌莉。
○煌莉の家、リビング(夜)
煌莉が母親といっしょに夕食の準備をしていると、父親が帰宅。
母親「おかえりなさい」
煌莉「パパ、おかえり!」
父親「ああ、ただいま」
ネクタイを緩める父親。
家族3人が席につき、夕食の時間。
煌莉「パパ。わたしのSP、替えすぎじゃない?この前の人だって、べつに悪い人じゃなかったよ?」
父親「煌莉は男を知らないから、パパは心配なんだ。もし煌莉がそそのかされて、SPとの間に浮いた話でもされたら…」
不安そうに、眉を下げる父親。
煌莉「それは、パパの考えすぎだよ〜。SPだって、そこはちゃんとわきまえているだろうし」
煌莉(パパは、わたしがSPと恋愛関係にならないかということを心配していた)
煌莉(だから、SPがわたしに対して下心がありそうだと判断したら、すぐチェンジ申請でSPを交代していたのだ)
〈聖リリアナ高等学校は、SP制度でのイブ科とアダム科の生徒の恋愛を禁止している〉
〈警護することにおいて、私情は不要だからだ〉
〈もし、交際していることが学校に知られてしまったら、即退学処分となる〉
煌莉「それにわたし、好きな人とかできたことがないから大丈夫だって」
父親に心配させまいと、笑ってみせる煌莉。
しかし、心の中は複雑だった。
煌莉(パパにはああ言ったけど、わたしにだって好きな人くらいはいた。だけど、わたしの初恋は、その人に振られてあっけなく終わった。それから、一度も恋はしていない)
煌莉「もしパパがSPとの関係が気になるなら、べつにわたし、SP制度を利用しなくてもかまわないよ?」
父親「なにを言ってる。かわいい娘を1人になんてできるものか。校内にまでボディーガードをつけることはできないからな。だからこそ、SP制度が必要なんだ」
〈雇われボディーガードは、学校の敷地内まで入ることはできない〉
〈しかし、アダム科のSPであれば、校内も校外も行動をともにすることができる〉
食事をしていた父親が、握っていたナイフとフォークをいったん置く。
父親「そこでだ、煌莉。さっそく明日から、新しいSPについてもらうことにしたから」
煌莉「そうなの…!?」
父親「ああ。しかも今回のSPは、パパが絶対的に信頼しているから、安心して煌莉を任せることができる」
自信満々の笑みを見せる父親。
煌莉(そこまでパパが言うなんて、よっぽどのことだ。でも、だれなんだろう…?)
父親「ちなみに、今日彼をここに呼んでいるんだ」
煌莉「今日って…、今!?」
父親「そうだ。紹介してもかまわないだろう?」
母親「まあ、楽しみね♪」
両手をパンッと合わせて、微笑む母親。
煌莉「…ちょっと待って。そんな…いきなり言われても――」
父親「入ってきてくれ」
父親がそう言うと、ドアのガラス部分に影が移る。
ゆっくりと開けられるドア。
煌莉は慌てて、布巾で口元を拭う。
入ってきた人物を見て、目を丸くする煌莉。
そこに立っていたのは、黒のスーツを着た180センチ近くはある高身長の青年。
青みがかった黒髪短髪。
切れ長の目に鼻筋の通った整った顔。
父親「煌莉。彼を覚えているか?」
その青年に、隣にくるように手招きをする父親。
煌莉は目を大きく見開け、何度も目を擦る。
青年「この度、新しく煌莉様のSPとしておそばに仕えることになりました」
煌莉「どうして…」
驚きのあまり、言葉に詰まる煌莉。
父親「改めて紹介しよう。彼の名前は、風見蒼くん。明日から、新しく煌莉のSPを任せることになった」
蒼「煌莉様、お久しぶりです」
蒼は頬を緩めることなく、硬い表情のままお辞儀をする。
母親「まぁ、蒼くんじゃない!こんなにかっこよくなっちゃって〜♪」
母親は、にこやかな表情で蒼に目を向ける。
煌莉(…夢でも見ているのかと思った)
開いた口が塞がらない、煌莉。
大人っぽくなった蒼に、煌莉は胸がドキッと反応する。
煌莉(なぜなら、わたしの前に現れた新しいSPとは――。突然わたしの前から姿を消した、初恋の人だったから)
向かい合う、幼い私服姿の煌莉と蒼
煌莉『…蒼。好きっ…』
煌莉(これが、わたしの生まれて初めての告白だった)
蒼は、煌莉に対し背中を向ける。
蒼『煌莉の気持ちには応えられない』
その言葉に、涙する煌莉。
煌莉(その日を最後に、蒼はわたしの前から姿を消した)
(回想終了)
○学校、テラス(昼休み)
テラス席に座り、向かい合わせで学食を食べる煌莉とまりあ。
主人公でヒロインの宝条煌莉。
ゆるくウェーブのかかった、ふんわりとしたロングヘア。
人気ジュエリーブランド『BERRY JEWELRY』社長のひとり娘。
上下とも、ボルドーワインの色の制服。
白いシャツの上に、ウエストまでの短い丈のブレザー。
そのウエスト部分から膝下にかけて伸びるプリーツのロングスカート。
足首までの短めの靴下。
焦げ茶のローファー。
愛川まりあ
同じクラスの煌莉の友達。
ツインテールの巻き髪が特徴的な女の子。
5人アイドルグループ『PARTY』のメンバー。
まりあ「聞いたよー!また、煌莉パパがチェンジ申請出して、SP交代するんだって?」
煌莉「うん、そうなんだ〜…」
苦笑いを浮かべる煌莉。
まりあ「今度の原因はなんだったの?」
煌莉「パパいわく、SPの中島くんがわたしに下心があるとかなんとかで…」
まりあ「あ〜、でもそれわかるかもー。なんか中島くん、警護中もやたらと煌莉のこと見てなかった?」
煌莉「そう…かな?」
まりあ「そうだよー!」
昼食のカルボナーラをスプーンとフォークとでクルクルと巻き、口に運ぶまりあ。
煌莉「でも、さすがにチェンジしすぎだと思わない…?」
まりあ「まぁ、それはたしかにね」
ため息をつく煌莉。
〈煌莉たちが通う、聖リリアナ高等学校〉
〈ここは、多くのお嬢様たちが通う超セレブ学校〉
〈在校生には、日本を担う大企業の社長令嬢、一流アスリートや有名芸能人の娘などがいる〉
〈彼女たちは、『イブ科』というコースに在席している〉
〈イブ科とは、将来、外見も内面も美しい才色兼備な女性になるべく、基本的な教科の授業はもちろん、あらゆる分野の礼儀作法やマナーといった教育もカリキュラムに含まれている〉
〈イブ科の卒業生の中には、歴代総理大臣の妻や、ミス日本代表に選ばれた者も少なくはない〉
〈そして、女子生徒のみ在席しているイブ科とは反対に、男子生徒のみ在席している『アダム科』というコースがある〉
〈アダム科は、ボディーガードを志す心技体に優れた男子生徒が多数在席していて、将来有能なセキュリティポリスになるべく、教育を受けている〉
〈現在、世界各国の首相や大統領を守る専属SPの多くは、アダム科の卒業生たちだ〉
〈そして、聖リリアナ高等学校の特徴として、イブ科の女子生徒1人に対し、同学年のアダム科の男子生徒を1人、SPとしてつける制度がある〉
〈『SP』と言っても、『セキュリティポリス』の意味ではない〉
〈聖リリアナ高等学校でいう『SP』とは、『シークレットパートナー』と言われている〉
〈シークレットパートナーとは、周りにボディーガードだと悟られず、陰ながらお嬢様を守る役割のことだ〉
〈そのため、学校生活はもちろんのこと、プライベートでも常に行動をともにする〉
まりあは、いったんスプーンとフォークを置き、水の入ったグラスに手を伸ばす。
まりあ「そういえば、煌莉知ってる?アダム科で、変な呼び名がつけられてるって噂」
煌莉「…変な呼び名って?」
不安そうな表情を見せる煌莉。
まりあ「すぐにSPを交代させることから、『刹那のお嬢様』って呼ばれてるらしいよ」
煌莉「わ…わたしが!?」
驚いて、目を丸くする煌莉。
まりあ「うん。でも、その『刹那のお嬢様』にどれだけ長くSPとしてつけるかっていうのも、アダム科ではちょっとした競り合いになってるみたいっ」
茶化すように、微笑むまりあ。
煌莉は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、手で顔を隠す。
煌莉(まさか、陰でそんな呼び名がつけられていただなんて…恥ずかしすぎる)
肩を落とす煌莉。
気にしてもしょうがないとなだめる、まりあ。
〈この『SP制度』は、高校2年生から取り入れられ、大抵は初めてパートナーとなった相手と卒業までペアになることがほとんどだ〉
〈しかし、煌莉は違った〉
〈今は高校2年の9月だが、すでに6人ものSPをチェンジ申請を利用して、新しいSPに替えている〉
〈煌莉との距離が異様に近い〉
〈煌莉へのボディタッチが多い〉
〈煌莉を口説こうとしている〉
〈そういった理由で、ものすごく心配性の煌莉の父親が、毎回チェンジさせている〉
〈そして、また今回も〉
煌莉「いつも仲よくなる前にチェンジだから、あんまりSPのことについてよく知らないんだよね」
まりあ「結局のところ、煌莉パパは煌莉のそばに男がいるのがイヤなんじゃない?」
煌莉「でも、今パパを警護してくれてるボディーガードの人はここの卒業生みたいで、パパもすごく信頼してるから、この制度については理解があると思うんだけど…」
あきれたように、ため息をつく煌莉。
○送迎の車の中(放課後)
煌莉の前の助手席には、40代の強面のボディーガードが座っている。
SPがチェンジとなり、新しいSPがつくまでの間、煌莉を警護するように雇われたボディーガード。
〈小学6年生のときに一度、誘拐されそうになったことがあった煌莉〉
〈それ以来、父親は煌莉にボディーガードをつけるようになった〉
煌莉(今度のSPとは、仲よくなれたらいいな…)
憂鬱そうな目で、車の窓から外を眺める煌莉。
○煌莉の家、リビング(夜)
煌莉が母親といっしょに夕食の準備をしていると、父親が帰宅。
母親「おかえりなさい」
煌莉「パパ、おかえり!」
父親「ああ、ただいま」
ネクタイを緩める父親。
家族3人が席につき、夕食の時間。
煌莉「パパ。わたしのSP、替えすぎじゃない?この前の人だって、べつに悪い人じゃなかったよ?」
父親「煌莉は男を知らないから、パパは心配なんだ。もし煌莉がそそのかされて、SPとの間に浮いた話でもされたら…」
不安そうに、眉を下げる父親。
煌莉「それは、パパの考えすぎだよ〜。SPだって、そこはちゃんとわきまえているだろうし」
煌莉(パパは、わたしがSPと恋愛関係にならないかということを心配していた)
煌莉(だから、SPがわたしに対して下心がありそうだと判断したら、すぐチェンジ申請でSPを交代していたのだ)
〈聖リリアナ高等学校は、SP制度でのイブ科とアダム科の生徒の恋愛を禁止している〉
〈警護することにおいて、私情は不要だからだ〉
〈もし、交際していることが学校に知られてしまったら、即退学処分となる〉
煌莉「それにわたし、好きな人とかできたことがないから大丈夫だって」
父親に心配させまいと、笑ってみせる煌莉。
しかし、心の中は複雑だった。
煌莉(パパにはああ言ったけど、わたしにだって好きな人くらいはいた。だけど、わたしの初恋は、その人に振られてあっけなく終わった。それから、一度も恋はしていない)
煌莉「もしパパがSPとの関係が気になるなら、べつにわたし、SP制度を利用しなくてもかまわないよ?」
父親「なにを言ってる。かわいい娘を1人になんてできるものか。校内にまでボディーガードをつけることはできないからな。だからこそ、SP制度が必要なんだ」
〈雇われボディーガードは、学校の敷地内まで入ることはできない〉
〈しかし、アダム科のSPであれば、校内も校外も行動をともにすることができる〉
食事をしていた父親が、握っていたナイフとフォークをいったん置く。
父親「そこでだ、煌莉。さっそく明日から、新しいSPについてもらうことにしたから」
煌莉「そうなの…!?」
父親「ああ。しかも今回のSPは、パパが絶対的に信頼しているから、安心して煌莉を任せることができる」
自信満々の笑みを見せる父親。
煌莉(そこまでパパが言うなんて、よっぽどのことだ。でも、だれなんだろう…?)
父親「ちなみに、今日彼をここに呼んでいるんだ」
煌莉「今日って…、今!?」
父親「そうだ。紹介してもかまわないだろう?」
母親「まあ、楽しみね♪」
両手をパンッと合わせて、微笑む母親。
煌莉「…ちょっと待って。そんな…いきなり言われても――」
父親「入ってきてくれ」
父親がそう言うと、ドアのガラス部分に影が移る。
ゆっくりと開けられるドア。
煌莉は慌てて、布巾で口元を拭う。
入ってきた人物を見て、目を丸くする煌莉。
そこに立っていたのは、黒のスーツを着た180センチ近くはある高身長の青年。
青みがかった黒髪短髪。
切れ長の目に鼻筋の通った整った顔。
父親「煌莉。彼を覚えているか?」
その青年に、隣にくるように手招きをする父親。
煌莉は目を大きく見開け、何度も目を擦る。
青年「この度、新しく煌莉様のSPとしておそばに仕えることになりました」
煌莉「どうして…」
驚きのあまり、言葉に詰まる煌莉。
父親「改めて紹介しよう。彼の名前は、風見蒼くん。明日から、新しく煌莉のSPを任せることになった」
蒼「煌莉様、お久しぶりです」
蒼は頬を緩めることなく、硬い表情のままお辞儀をする。
母親「まぁ、蒼くんじゃない!こんなにかっこよくなっちゃって〜♪」
母親は、にこやかな表情で蒼に目を向ける。
煌莉(…夢でも見ているのかと思った)
開いた口が塞がらない、煌莉。
大人っぽくなった蒼に、煌莉は胸がドキッと反応する。
煌莉(なぜなら、わたしの前に現れた新しいSPとは――。突然わたしの前から姿を消した、初恋の人だったから)