【短】だからもう、俺にちょうだいって。




まさかこんな一部始終を誰かさんに見られているとは知らずに。



「じゃあ……そういうことで」


「あっ、ありがとう黒田くん…!」



半ば無理やりに押し付けてから、黒田くんは仄かに赤く染まる顔をメガネで隠すように図書準備室を出ていこうと───、

したのだけれど。


ドンッ!!と、ドアの前で強めに誰かとぶつかっては、跳ね返るようによろけた。



「あ、ごめん平気怪我はない大丈夫?大丈夫??ねえ大丈夫??おい、怪我はない?
言って、怪我した?したならわざとじゃないから俺。これ事故だから許して。
まあ俺はいろんな意味で許さねえけどな」


「……平気、ですけど」


「はっ、まじで?…くっそ、もっと強く当たっとけば良かった」



ゆ、ゆ、ゆ、ゆいたくん……!?


うそっ、どこから見てたの…?

というよりすごい顔してる、怒りを隠すことができてないよ結多くん……!



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