【短】だからもう、俺にちょうだいって。
そんな男の子と地味な私なんかが付き合えてしまったことが、しょっちゅうと言っていいほど分からないときがある。
『このみちゃんが裸エプロンでチョコ作ってんのね?』
「………」
この時点で分からないよ結多くん。
どうして私は裸にエプロンしてるの…?
そんなの風邪引いちゃう。
『で、“あ…!”ってチョコを落とすの。胸元だったり太ももだったり、結果として全身に。ここ大事、そりゃもう全身に』
妄想のかたまり、男子高校生。
結多くんの飾らないところが私はとても好きなのだけど、いつも聞いていて恥ずかしくさせてくる。
『そしてそれを俺が舐め───、なんっつータイミングで俺はピザ頼んだ?
いまかよ…、空気読んでくれってマジで。ほんとごめんこのみちゃん。いったん切るね?』
「あ、うん…。またね」
逆に空気を読んでくれて私としてはピザ屋さんに感謝だ。