【短】だからもう、俺にちょうだいって。
「……そうか分かった。んじゃあ、お前の彼女に頼むか」
「やらせろよティーチャー。俺にやらせろ。なんで他にやらせんだ、俺とティーチャーの仲だろ。
はいじゃあみんな俺の机に数学のノート持ってきて!5秒以内に!!」
ほら、これだけで教室全体を笑顔にしてしまう。
彼のこういうところにどれ程の人間が救われただろう。
いつだって分け隔てのない性格と、誰に対しても平等に扱うことができる優しさ。
きっと結多くんはどこへ行ったとしても中心に立つ人物なんだろうなあって、毎日のように思う。
“先輩にお話があります。お昼休み、図書準備室で待ってます。 1年B組 黒田”
そして私は、迷っていた。
朝から持っていた1枚の紙切れを手にして、とてつもなく迷っていた。
これは朝の下駄箱に入れられていたもので、黒田(くろだ)くんは同じ図書委員でもある後輩。
そんな呼び出しをされたことなど初めてのため、いろんな意味で戸惑っている現在。