【短】だからもう、俺にちょうだいって。
「黒田くん、何かあった?委員会のこととかで…」
「いや、とくにそういうわけじゃなくて…」
そんな私は、黒田くんの右手に持たれた“とある物”に視線が移った。
シンプルな小袋は今日という日には特別に見えてしまうもの。
でもそういったものに興味なさそうな黒田くんが持っていること自体が意外で、ちょっとだけ面白いかも…。
「あっ、もしかして女の子から貰ったのかな…?すごいね黒田くん!」
「……いや」
もしかして、もしかして……。
女の子からバレンタインを貰ってしまった→どう反応したらいいか分からなかった→誰かに相談しようとした。
でもとくべつ相談できる女子生徒が近くに居なかったから、最終的に私が選ばれた……?
うん、そうだ。
この感じだと絶対これだ。
「でも私もまだ渡せられてないくらいだから、いいアドバイスができるか分からなくて…」
「いや、先輩」