あさまだき日向葵
好きで嬉しいのに、胸がヒリヒリする。
会いたいのに、背を向けたいような。
好きって、いつでも矛盾していて、裏表の感情が同時に存在する。
嫌い、だから、好き。
だけど、全部私の感情だ。他の誰でもない、私の。
──
うっ、紙袋さえ可愛いのがなくて、かろうじて紅茶の紙袋は可愛いけど。
逆に何で家にあったのか不思議な、泥棒が背負ってる風呂敷柄(唐草模様って言うの?)の紙袋に使い捨てのお弁当箱(佃煮でも入ってそうなやつ!)に不揃いのクッキーを入れて、家を出た。
紙袋が恥ずかしくて、紅茶の紙袋を外側にしたけれど、小さな紙袋では泥棒柄は隠せない。輪ゴムで止めた弁当箱のクッキーはどう見ても美味しそうには見えない。なのに量だけはたっぷりある。
……どうしよう。やっぱり、家に置いて来ようか。そう思って足を止める。くるり、体の向きを変えた瞬間
「何? 忘れ物?」
塔ヶ崎くんが、そこまで迎えに来てくれていた。
「いや、はは……」
「久しぶり」
そう言って笑う。うん。格好いいとしか思わない。
「……そうだね」
全然そんなことないのに、顔を見たらずっと会ってなかったみたいに思った。
「ん」
塔ヶ崎くんが手を差し出してくる。
……これは、そうだ。
「よろしくお願いします」
そう言って、塾のカバンを預けた。よし、合ってる。同じ失敗はしない。
「うん。そっちはいいの?」
泥棒柄の紙袋と紅茶の紙袋を指して言う。
会いたいのに、背を向けたいような。
好きって、いつでも矛盾していて、裏表の感情が同時に存在する。
嫌い、だから、好き。
だけど、全部私の感情だ。他の誰でもない、私の。
──
うっ、紙袋さえ可愛いのがなくて、かろうじて紅茶の紙袋は可愛いけど。
逆に何で家にあったのか不思議な、泥棒が背負ってる風呂敷柄(唐草模様って言うの?)の紙袋に使い捨てのお弁当箱(佃煮でも入ってそうなやつ!)に不揃いのクッキーを入れて、家を出た。
紙袋が恥ずかしくて、紅茶の紙袋を外側にしたけれど、小さな紙袋では泥棒柄は隠せない。輪ゴムで止めた弁当箱のクッキーはどう見ても美味しそうには見えない。なのに量だけはたっぷりある。
……どうしよう。やっぱり、家に置いて来ようか。そう思って足を止める。くるり、体の向きを変えた瞬間
「何? 忘れ物?」
塔ヶ崎くんが、そこまで迎えに来てくれていた。
「いや、はは……」
「久しぶり」
そう言って笑う。うん。格好いいとしか思わない。
「……そうだね」
全然そんなことないのに、顔を見たらずっと会ってなかったみたいに思った。
「ん」
塔ヶ崎くんが手を差し出してくる。
……これは、そうだ。
「よろしくお願いします」
そう言って、塾のカバンを預けた。よし、合ってる。同じ失敗はしない。
「うん。そっちはいいの?」
泥棒柄の紙袋と紅茶の紙袋を指して言う。